これは夢だと思いたい。
先生との関係を、こんな形で紬に知られてしまうなんて…。
紬が教室で待っているかと思って油断していた。
蓮との恋を応援し続けていたからこそ、ショックの大きさは計り知れない。
「それは、私だけが知らなかった話?大和くんは知ってたんだよね…。」
「……。」
「信じられない…。私は梓と蓮くんを応援してたのに、梓は二股かけてたの?しかも、もう一人の相手は高梨先生なんて…。」
「紬、私の話を聞いて!…二股なんかじゃない!先生が本命なんだよ…。」
「じゃあ、蓮くんがかわいそう。梓の事をいつも全力でかばってくれたのに…、ひどいよ。梓は蓮くんの事を一体どう思っているの……。」
ここ1ヶ月半、紬はほぼ毎日蓮と一緒に過ごしていたから、蓮の気持ちをよく知っている。
だから、本命の恋を進めている私に裏切られたと思ってしまったのか、瞳にたっぷり涙を溜めてその場から逃げ出した。
「紬、待って……。」
引き止める為に背中に声を届けたけど、紬の足は止まらない。
そんな最中、紬の心情を察知した大和が私の横を通り抜けて後を追った。