交際が面倒な大和の話と、大和を一途に想う紬の気持ちを重ね合わせているうちに、少し苛立ちを感じていた。



「じゃあ、大和は一生涯ひとりぼっちで過ごすつもりなの?交際しないと見えてこないものだってあるんだよ。例え大和に片思いしている子がいたとしても、大和は面倒なことを理由にその子と向き合うつもりはないって意味?それ、酷くない?」

「一生涯って大袈裟じゃね?……何、自分に恋人がいるからって、彼女のいない俺に説教でもしてんの?俺が間違ってて、お前が正解とでも言いたい訳?」



教室まであと一歩という階段の踊り場で、紬との未来が見えない大和についムキになり、大和の恋愛観について口を出してしまった。

勿論言い争うつもりはないけど、大和に弄ばれる女子の気持ちも少しは考えて欲しかった。



「だって、大和だけじゃなくて奏も一緒だけど、二人とも恋愛に関してちゃんとしないんだもん…。好意を寄せてくれている女子達がかわいそうだよ。」

「はぁ?頭ごなしに偉そうな事を言ってるけど…。じゃあ、お前はどーすんだ。」


「なにがよ。」

「秘密の交際を続ける高梨とはどうやって生きていくつもり?偽恋人としてお前を嫌がらせからかばう為に付き合っている蓮がいるのにひでーな。お前は二股かけてる奏とあまり変わんねーのに、偉そうな事を言える立場かよ。」


「私は二股じゃない!本命は先生だって知ってるでしょ。それに、偽恋人は蓮と同意の上だった。」



大和とは価値観が違い過ぎたせいか、我を忘れてついムキになってしまった。