ーークリスマスツリーや、屋外に設置されているイルミネーションライトが街を彩るようになった、12月初旬。



二学期の期末テストが始まった。

既に就職先や推薦で進学先が決まっている生徒も、卒業する為には必須単位を取らなければならない。

これから受験本番を迎える私達は、今回のテストも本番に向けた勝負の一つに過ぎない。



テストが始まる前日までは、紬と蓮と三人で勉強する日々が続いた。
あんなに苦手だった数学も、蓮が一生懸命教えてくれたお陰で、中間テストと比べると驚くほどペンの進みがよくなっている。







「あーっ!ようやくテストが終わったね。蓮くんが勉強を教えてくれたから、前回よりは出来が良いかも。」

「私達は蓮にかなり助けられたね。」



期末試験が無事に終わり、学校帰りに紬とカフェでお茶を飲んでいた。

紬は相変わらず先生との関係を知らない。
以前、校長室に呼ばれた理由も家庭の事情と誤魔化し通したせいか信じ込んでいる。



一方、高梨先生との交際は続いているけれど、嘘を重ねた結果が仇となってしまい、少しぎこちなさを感じていた。



先生は、校長室に呼び出されたあの日から消極的になった。
防御態勢に入ってしまったのか、以前みたいに密会をする訳でもなく、秘密のメモをやり取りする訳でもない。
学校では、普通に教師と生徒の関係。

二人で会うのは週末デートのみ。



先生は蓮のように肉食タイプではないけど、秘密の恋愛という冒険は厳しかったのだろうか。



以前は熱く感じていた唇でさえ、最近は力強さや情熱を感じない。

自分の中のスリルや冒険心、そしてあんなに注意を払っていた警戒心までもが、いつしか徐々に薄れていくようになっていた。