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花音「ねぇ〜、みんなぁ。今日これからイケジョメンバーと一緒にカラオケ行かない?」



花音は昼休みの終わり際に、廊下で談笑しているイケメントリオに声をかけた。
すると、大和はイケジョというキーワードにいち早く耳を立てる。



大和「マジかー?……おい、お前ら。今日はイケジョと仲良く遊んじゃいますかー!」

奏「行く行く〜。俺ら今日はちょうど暇だったの。…な、蓮?行くだろ。」

蓮「えっ?…あっ、あぁ…。」



花音「やったー!じゃあ決定ね。ホームルーム終わったら、駅前の《カラオケKING》で待ってるから、なるべく早めに来てね〜。」

大和「オッケ~イ。」

奏「了解!ホームルーム終わったらすぐ向かうわ。」



蓮率いるイケメントリオをカラオケに誘えて大満足な花音は、長い髪を揺らしながらステップ気味で廊下を走り去った。




ーーだが、ここから復讐劇が幕開けする。




一年の頃からつもりに積もっていったストレスは、何処かで発散しないとやっていられない。



壁1枚挟んだ教室に隠れていた梓は、扉側に周って顔を左右させて花音が居なくなった所を確認すると、廊下で談笑しているイケメントリオの前にしおらしい態度で寄って行った。



梓「ねぇ、今日は紬とボーリングに行く予定なんだけど……。蓮達は忙しそうだからさすがに一緒には遊べないよね…。あーあ、久しぶりにイケメントリオと遊びたかたったな〜。あー、残念。」



まるで一人劇場のようだが、花音に口では対抗できないから、仕返しは裏で静かに執り行われる。


本人に仕返しをするのなら、蓮を動かすのが一番。
だから、花音のモノマネで甘え口調の上目遣いで参戦した。


すると、蓮は梓のお誘いに反応しグワッと目を見開く。



蓮「…俺は行く。いやっ、ちょうどボーリングに行きたいと思ってたところだったんだ。えっと…、お前らも確か……今日は暇だったよな?」

大和「蓮!今さっきの花音の話を忘れたのかよ。」

奏「お前っ………。イケジョ達とカラオケは?」



奏と大和は、花音との約束が念頭にあるが、蓮は違う。
梓以外の事は全て二の次に。



蓮「はぁ?そんな予定あったかなぁ。お前らも暇だったはず。さっき言ってたし。」

大和「お前アホか!俺らが暇だったのは今から二分前の話っ!」

奏「約束には順番ってモンがあるだろ。イケジョと遊べるチャンスだろ?」



蓮「は~ぁ?そんなの知らない。さっ、今日は梓達と一緒にボーリングに行くぞっ。」

大和&奏「蓮っっ!」



少々汚い手ではあったが……。
こうして、蓮率いるイケメントリオは花音との約束をあっさりとすっぽかして私達と一緒にボーリングへ行く事になった。





一方、放課後にカラオケ店の一室で待つ花音率いるイケジョメンバーは……。



「花音〜。イケメントリオはまだ来ないの?」

「もう40分もここで待ってるよ。」

「さっきは暇だって言ってたのに…。もうすぐ来るかなぁ。あんなに乗り気だったのにおかしいなぁ。」



花音達は、蓮の身勝手な事情など知るはずもなく、一緒に遊ぶはずだったカラオケボックスにて、寂しく待ちぼうけを食らう事となってしまった。