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「マジであいつの存在がウザイ。顔はイマイチだし、性格も普通だし、頭が良い訳でもないし…。どこがいいんだか全くわかんない。」

「クスクス…。花音、やめなよ〜。本人に聞こえちゃうよ〜。」


「いーの、いーの。本人にちゃ~んと聞こえるように言ってるんだから、別に構わないよ。」

「クスクス…。」



花音は男子がいないこの女子更衣室で、私の悪口を繰り広げていた。

敢えて名前を言わなくても、悪口が誰に対して言っているものなのか、この場にいるみんなは分かっている。



リーダー的存在の花音に関わるとロクな事がない。
だから、みんなは見て見ぬ振り。
卒業までは穏便に過ごしたいのが、みんなの本音だ。

男子の前では絶対に口にしない汚い言葉遣いや人の悪口は、女子更衣室では当たり前のように使われている。



直接見ていないので疑ってはいけないけど、この前のお弁当箱事件も花音が主導者なのでは…と思わせられるほど、彼女は私の事が気に食わない。







「あーっ。花音ムカつくね。男子の前ではいい子ぶってるクセに、更衣室に入った瞬間別人になって梓の悪口ばかり言うんだから。」

「もう慣れたから気にしないよ。勝手に言わせておけばいいよ。花音に言われても私の株はこれ以上下がらないから。」


「もーっ。梓は本当に優しいんだから。ねぇ、今日はストレス解消でボーリングに行かない?」

「あっ、いいね〜!久々に行こう!」



悪口を繰り返す花音にムカついていない訳ではない。
みんなの前で堂々と悪口言われるのは、はっきり言って気分が悪い。



でもね……。
こんな私にだって反撃したくなる時があるんだよ。