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「先生、今日はごめんね…。なかなか連絡が出来なくて。」



蓮と別れて自宅に避難してから、急いで先生に電話をかけた。




結局、蓮はあの後自宅にまでついてきた。

私を紳士的に家まで送り届けたつもりなのか。
それとも、本気で私と先生の仲を引き裂くつもりなのだろうか。


…いや、考える必要もない。
彼の選択は間違いなく後者。





『何か連絡出来ない事情があったんでしょ。』

「あ…うん。」


『その代わり、何処かで必ず埋め合わせしてね。』

「勿論!絶対、ぜーったいするからね!」



先生はいつも冷静。
心が狭い誰かさんとは違って、目の前で彼女の肩を抱かれたくらいでは簡単に動揺しない。



これが蓮なら、間違いなく相手の襟元を掴んで拳を上げるだろう。
蓮の性格は知り尽くしてるから考えなくてもわかる。



「先生…。」

『…うん?』


「柊くんにヤキモチ妬いちゃった?」



あの時の先生の心境が知りたかった。
先生は感情を取り乱したりしないから、先生の口から聞きたいと思っている。

勿論、ヤキモチを妬いて欲しい。



『妬いたよ。でも、教師という立場上、表情には出せないし…。』

「…うん、わかってる。」



そう、わかってる。
だけど、男は今まで蓮しか知らなかったから、平静を装う先生にはもう少しムキになって妬いて欲しかった。



先生の対応は教師として正解だと思うけど…。
その冷静さが少し物足りなくて、たまにもどかしく感じる。