でも、体調不良のところを見せたくなくて現況を偽ってる可能性もあるので、安静にさせる事を念頭に置いた。



「そんなに具合が悪いなら、ご飯を食べてから横になった方がいいんじゃない?」

「いや、飯食ってから一緒に勉強しよ。期末テスト間近だし。」



咳は一瞬で止まってるし、顔色は悪くない。
声もいつも通りだし…。
やっぱり健康状態に問題はなさそうに見える。

しかも、具合悪いクセに一緒に勉強しようとか訳わからない事を言ってくるし。



蓮の元気そうな様子を見てるうちに安心したせいか、見失っていた理性を取り戻した。



「勉強するほど元気があるって事は、もしかして私の手が必要なレベルじゃないって事よね。」

「えっ…、ゴホゴホ。…ん、まぁ。(やべぇ、仮病がバレたかも)」



明らかに怪しい蓮の言動に、梓は目の色を変えた。



「あのさぁ、蓮が『助けて』ってメッセージを送ってきたから、先生とのデートをキャンセルしてここまで来たんだよ。そんなに元気なら先生の元に戻るね。午後から約束していたサーカスが始まっちゃう。」



丸投げしてきた状況を思い出した瞬間、我に返った。