「私になんて構ってないで、いつも蓮に引っ付いている花音と遊べばいいじゃん。」

「だ〜か〜ら〜。その返事がマジでウザっ。ってか、花音いま関係ねーし。…俺はぜってーお前とやり直すからな。」


「いい加減諦めてよ。私には新しい彼氏が出来たんだってば。昨日から知ってるでしょ。」

「無理!お前が俺の所に戻るまで諦めない。」


「蓮〜〜〜っ!」



蓮は放課後もずっとこんな調子で私に付きまとう。



私なんて放っておいてさっさと家に帰ればいいのに、私の帰り支度が済むのをわざわざ隣の席で待ち構えている。

荷物をまとめて振り切るように足早に教室を出ても、何故かしつこく追いかけてくる。



これはまさか…。
一緒に帰ろうとしているの?

蓮のせいで先生から受け取りそびれたメモの代わりに、これからスマホでメッセージを送らなきゃいけないんだよ。



梓はストーカー並に付きまとう蓮にクルリと振り返る。



「もしかして、私と一緒に帰るつもり?」

「そうだけど。…まさかお前、また体育館の用具室であいつとコッソリ会おうとしてるつもり?」



蓮は人通りが多い廊下で、梓と高梨の二人だけの秘密を悪びれる様子もなく口にした。
梓は慌てて蓮の口を両手で塞ぐ。



「バカッ……。何でそれを今ここで言うの?誰かに聞かれたらどうするのよ。」



口を塞がれて嫌がる蓮は、梓の手首をムンズと掴んで解く。



「はぁ?そんなの知らねーし俺には関係ねぇ。」

「蓮〜〜〜!」



蓮は別れた今も私を苦しめてくる。
相変わらず面倒くさいヤキモチ男だ。