ーー恋愛戦争が勃発して三角関係が日に日に浮き彫りになってきた、ある日の土曜日。


今日は先生とデートの日。
約束の時間は11時。
先生はいつも通り私の自宅付近に車を停めて待っていた。



密会をやめてから二人きりで会うのは週一程度。
校長室での一件から、私達二人の間に小さな溝が生じていた。



先生の事が嫌いになった訳じゃない。

ただ、ささくれのように出来てしまった胸の中の小さなトゲがチクチクして気になるだけ。





先日、校長室で教頭先生に詰め寄られて、口ごもらせてしまった高梨先生。
教室には二人きりではないと断言したところまでは良かったけど、第三者の名前がすぐに出てこなかった。

あの時は、嘘でもいいから名前をすぐに挙げて欲しかった。
全力で守って欲しかった。


男性は蓮しか知らなかった分、咄嗟判断がきく蓮とは対照的な先生の反応に少しもどかしさを感じていた。