✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼



「お弁当箱事件の時の蓮くん、本当にカッコよかった。ヤンキーみたいにキレてて怖かったけどね。嫌がらせをされる度にいつも梓の味方をしてくれて本当に羨ましい。」

「…そうかなぁ。」


「二人が恋人に戻ってくれただけでも嬉しい。私も蓮くんみたいに自分だけを一途に思ってくれる素敵な彼氏が欲しいなぁ。」



ーー紬と二人で音楽室から教室へと移動している最中、彼女は先日起こった弁当箱事件について触れた。


目を輝かせながら蓮を絶賛する話はもうこれで三度目。
そろそろ耳にタコが出来そうなほど。





紬は私と蓮が偽恋人としてスタートした事を知らない。
後夜祭で告白を受け入れたところを見ていたから、本当に復縁したと信じている。

だから、話を蒸し返される度にチクリと胸が痛む。



ずっと蓮を推してきた紬。
いま高梨先生と付き合ってるって知ったらどう思うかな。
きっと、歓迎されないよね。

本当は人から憧れられるような恋なんてしてない。




校長室での一件があってから、先生との密会はやめた。
先生と二人で校長室に呼ばれた時点で、私達に二度目は用意されていないのだから。