ーー街の景色が冬支度を始めた、11月上旬のある日の帰り際。



「大和……、やめろ!本人にデリケートな質問をするな。」

「頼む。止めないでくれ…。俺はもう辛くて耐えられねーんだよ。」



奏は大和の腕を掴んでは乱雑に振り解かれるといった悶着をしながら、俺の教室へとやって来た。

一見、大和が感情的になってるように思えたが、どうやら俺に聞きたい話があるんだとか…。





俺は二人に連れられてファーストフード店へやって来た。
向かいには大和、右斜め前には奏が座る。

大和はまるでビデオの一時停止ボタンを押されてしまったかのように、俺から目線を離さない。
一体、どうしたんだろう。



大和は一度深いため息をついた後、しょんぼり肩を落としながら口を開いた。



大和「蓮。余命は………あとどれくらいなんだ。」

奏「よせ!本人には直接聞かないようにって約束しただろ。」



深刻な表情のまま質問されたのは、まさかの余命話。

まだ18年間しか生きてないし、風邪一つすら引かないほど健康なのに、いきなり余命話をされてもどうしたらいいか…。


しかも、奏も話に乗っかりすぎ。
『本人には直接聞かないように約束した』って、どーゆー意味?
そんな先の事なんて今まで1度も考えた事ないのに…。