「あれは…、梓の弁当箱。」



蓮は床に転がっている弁当箱を見て、散乱している弁当が梓の物だと気付く。


教室に入って一番に駆けつけると、グシャグシャになった弁当箱を拾い上げて、おかずを手掴みで一つ一つ拾って弁当箱の中に詰め込んだ。

そんな蓮の背中を見て紬は泣きそうになりながらも、次いでおかずを拾い始めた。



梓はショックのあまり呆然として立ち尽くし、その様子を後方扉からただ見つめる事しか出来なかった。



蓮と紬の二人がお弁当の中身を全て拾い上げると、蓮は涙を流している梓を見て我慢が限界を迎えてしまい、突然人が変わってしまったかのように目の色を変えた。



「だぁ〜れが梓の弁当箱を床にブチまけたんだっ…。この、クソッ!」



バーン………


蓮は怒りの衝動が抑えられなり、すぐ傍にある机を勢いよく蹴り飛ばした。



床に叩きつけられた机の衝撃音がそれまで平穏に過ごしていた教室内に響き渡った瞬間、教室内にいる生徒の目線が一斉に蓮へ。

梓は人が変わってしまったかのようにキレた蓮に驚くと、思わず涙がピタッと止んだ。