ーーまた嫌がらせを受けた。



四時間目の体育の授業が終わって、紬と蓮と三人で一緒に教室へ戻ると…。

私の席の周辺には、お昼ご飯に食べようとしていたお弁当の中身が散乱していた。



弁当箱は確かに机の横フックにかけておいた。
だから、床に落下するはずがない。
もし落下したとしても、弁当袋のファスナーが閉ざされているから、中身が散乱するなんて不可能だ。


故意的に弁当をばら撒いた犯人がいるはず。
私が教室にいない隙を狙ってやったんだ。
最低……。


私は上履きの件に引き続いて、今回も蓮との交際を妬んだ誰かの仕業だと思った。




母が娘の為にと思って作ってくれたお弁当。
ウィンナー、卵焼き、ほうれん草のバター炒め、ポテトのチーズ焼き。

他の物ならまだしも、母が朝の忙しい合間をぬって一生懸命作ったものに手をかけた相手がどうしても許せなかった。



ムカつくし、絶対に許せないんだけど……。
怒りよりも惨めな感情が先走ってしまい、やるせない気持ちになった。



梓は感情を抑えようと思って唇を噛み締めると、自然と涙が浮かび上がってきた。