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「……もう無理。今抱えているもの全部捨てたい…。」

「じゃー、塾後にクラブに遊びに来るなよ。」


「それも無理。遊ばないと俺死んじゃう…。」

「お前人生大変そうだな。」



今日の昼間、梓を助けに行く為に校長室に乗り込んだ。
俺は塾後に奏を誘ってクラブのカウンターでいつものように愚痴っていた。


今日一日の疲労感が半端ない。

崩れるようにカウンターにもたれかかると、奏はお疲れの意味を込めて背中をポンポンと軽く叩き、持っているグラスを回しながらカハっと笑った。



「お前スゲーな。」

「何が……?」


「梓の為なら仙人でもなれそうだな。」

「校長室に入った瞬間、頭ン中マジでフル回転だった。梓が退学したら何の為に塾行ってるんだかわかんなくなるよ…。」



蓮は片腕枕でボーッとしながらグラスを握って、昼間の梓の事を思い描く。

すると、奏は蓮に疑問を投げた。



「前から何度も聞いてるけど、何の為にそんなに必死に勉強してるの?何で勉強と梓が絡む訳?」

「それを聞いてどうすんの?」


「それは、お前の身体が心配だから。(…もうあまり長くないんだろ)」

「心配させて悪りぃな。…何で俺が勉強を必死に頑張ってるか聞きたい?」


「ようやく話す気に?」

「いいよ。別に大した理由じゃないから…。」



俺はここで初めて猛勉強をしている理由を伝えた。
でも、話してみたら案外スッキリした。



今は多方面で悩みを抱えているが……。
後夜祭の時に教室で高梨に戦線布告をした以上、卒業までの日々をいま以上に努力しなければならなくなった。