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「大変だよぉーーーっ……」



ーー昼休みの終わり間近。
さっきまで教室にいた紬ちゃんが全力疾走で息を切らしながら、中庭で談話している俺と奏と大和の元へやって来た。

彼女はハァハァと荒くなっている呼吸を整えながら、胸に握り拳を当てている。
顔を見ると真っ青に。
俺達は逼迫した様子に思わず息を飲んだ。



蓮「紬ちゃん、何が大変なの?」

紬「梓が……梓がっ……」

奏「何があったかわからないけど、落ち着いて話してごらん」

大和「梓がどうかしたの?」


紬「理由はわからないけど、梓が教頭先生に呼ばれて校長室に連れて行かれちゃったの」

蓮「……」

大和「マジ?」

奏「蓮……」


紬「教頭先生は深刻な表情だった。何も心当たりがないのに、どうして梓だけ呼ばれたかがわからないの。それに、よからぬ雰囲気だった」



俺はその話を聞いた途端、梓が校長室に呼ばれた理由を察した。
奏が俺を見て目で合図したから、きっと同じく何かに気付いたのかもしれない。



蓮「俺っ……、行かないと」



気付いた時には頭よりも先に足が動いていた。

今から全速力で向かっても間に合うかどうかわからないけど、彼女を守る為に俺に出来る事を探していきたい。



奏「蓮っ……」

紬「えっ……。蓮くん」

大和「どうしてお前が行くの?」



狂ったように走り出した足はいっ時の迷いもなく校長室へ。
背後から呼び止める奏の声が背中から小さく聞こえる。
梓の恋愛事情を知らない紬ちゃんは、俺が梓の元へと走り出した事に驚いていた。