ーーとある日の昼休み。

奏と大和は、後夜祭で派手にやらかした俺を中庭に連れ出した。



「蓮、何で梓に告白をしたの?明らかにお前の方が損してるよ。」



奏は梓の偽恋人としてスタートさせた俺を心配している。



蓮「モノ違いで勘違いしちゃったけど…、自分がした事に後悔していない。人前で告白でもしないと、嫌がらせが繰り返されてる梓を堂々と守ってあげられないと思ったから。それに、俺は損してないし。」

大和「俺には梓の魅力がわかんねー。よく2年間も付き合ってたな。別れた今も元カノを追いかけるお前が意味ワカんねー。…ってか、付き合うなんて面倒じゃね?」



蓮「お前に梓の魅力がわかったら、盗られるだろ…。だから教えてやんない。」

大和「大丈夫、俺はイケジョしか付き合わん。梓は対象外。」



蓮「どーゆー意味だよ。梓もイケジョだろ?」

大和「もしそうなら、俺達と一緒にコンテストの壇上に上がってるだろ。一昨年も去年もそうだったけど、今回も居なかったじゃねーか。」

奏「恋は盲目ってやつだな…。」



奏も大和も言いたい放題。
本物の恋をまだ知らないお前達には、俺の気持ちなんてわかる筈がない。

形とはいえ、梓が告白を受け入れてくれたあの一瞬ですら俺は幸せを感じたのに……。



奏「そんなに好きなら、押してばかりじゃなくてたまには引いてみれば?」



二股三股…いや、四股を繰り返す奏に、まさかのアドバイスをされた。

女を使い捨てしているコイツらのアドバイスは、本気でやり直そうとしている俺にとって参考にならない。


もし、いま俺が引いてしまったら、梓は完全に俺の元へ戻って来なくなるのに。