ーー学園祭当日の晩。
蓮の告白にYESの返事をした私に、予想通りの展開が待ち受けていた。
高梨先生は電話先でかなりご立腹な様子。
落ち着いた口調を心掛けているようだけど、冷や汗でビショビショになった手で電話を握る私には、ヒシヒシと怒りが伝わってくる。
蓮は先生に戦線布告をした上に、全校生徒の前で堂々と彼女の私に告白。
そして、事前相談もなく自身の判断で危険な賭けに出た私。
ハチャメチャで大胆な行動は、大人の先生は理解出来ないようで。
果たして謝罪を繰り返す私の言葉が、先生の耳と心に届いているのだろうか…。
「そう言えば、教室で蓮に見付かる直前に私に何か言おうとしていたけど…。何の話だったの?」
「あぁ……。少し前に体育館で梓が柊くんのジャージを着て、柊くんと一緒に歩いていた事があったから、何かあったのかなと思って。」
「あの日は体育の授業の前に私のジャージが汚れちゃって…。柊くんがそれに気付いて自分のジャージを貸してくれたの。あの日は肌寒かったから。」
「そうだったんだね。…それと、柊くんは俺達の関係を知っていたんだ。」
「…うん。少し前にバレちゃった。内緒にしててごめんなさい。」
「これからますます注意して行動しないとね。」
リスクを伴う恋を続ける私達…。
後夜祭中、教室の扉が勢いよく開いた時はもう終わりかと思った。
でも、教室に入って来たのは蓮。
今回は運良く助かったけど、彼自身に心をかき乱された一日だった。
先生は釈明の電話で安心してくれたのか、最後に理解を示してくれた。
先生みたいにクールな大人でも理性を失う事があるんだね…。