蓮の気持ちと先生との秘密の恋愛を同時に守るという自分にとって好都合な結論に至った私は、蓮に向かって頭を下げた。



「おっ…、お願いします。」



返事が期待されていた会場の中。
私は彼に形だけの返事をした。


すると予想通り、会場は冷やかすような歓声と共に泣き叫ぶような悲鳴が聞こえてきた。



……だよね。
本当は私と蓮の幸せなんて誰も喜ばないよね。
だって、私自身も喜んでないし。



私は罪悪感によって震える口元を押さえていると、蓮はバカみたいに喜んでハグをしてきた。



くっ…。
もう、どうにかなってしまえ…。

先生…、ごめんね。



蓮の腕の中に包まれている間は、まるで走馬灯のようにメリットとデメリットが脳裏に駆け巡っている。




ーーこうして、蓮の予想外な告白によって、私は二、三年生だけでなく、私達の関係を知らなかった一年生からも嫌われ対象となってしまった。



結局、どっちに転んでも人から嫌われる運命なのかもしれない…。



借り物競争の結果発表で、蓮が連れてきた私は物ではなく人間だったので、当然失格に。

蓮はそんな私の気も知れずに満足気味に余裕顔。
これで良かったのかと半ば後悔して、彼の隣で呆然と立ち尽くす私。



蓮の告白で最高潮に盛り上がりを見せた後夜祭はフィナーレを迎えた。



こうして、蓮が後夜祭のステージ上で大告白をしたこの日を境に、私は蓮の偽彼女生活が始まった。