ライブが終わって壇上は片付けに入ると、メイン会場をキャンプファイヤーへと場所を移し、毎年恒例の告白タイムが始まった。
告白タイムとは…。
本校の生徒全員が見ている中で、キャンプファイヤーの前で好きな人へ想いを告白するというイベント。
私がこの後夜祭で一番楽しみにしていたイベントでもある。
『一年生の頃から、ずっと由梨ちゃんの事が好きでしたー。俺と付き合って下さ〜い。』
『……お願いします。』
『キャーッ』
パチパチパチ…
黄色い声援と拍手が鳴り響いて盛り上がる告白タイム。
告白が成功したカップルは、その場でハグをする。
それが、このイベントのお決まりルールだ。
カップルになった人達は、顔を見合わせながら照れ笑いしていてとても幸せそう。
だけど、当然告白が失敗した人達もいて、残念そうにがっくりと肩を落としていた。
…だけど、みんなの前で堂々と告白されるなんて羨ましい。
自身の恋愛は、人に祝福された事なんて一度もないな。
蓮と付き合ってた時は人から妬まれたし、先生との恋愛はイケメントリオ以外誰も知らない。
いいな…。
今カップルになった人達は、みんなに祝福されながら恋人として時を刻んでいくんだろうな。
梓は一人で物思いにふけっていると、高梨は横からボソッと呟いた。
「若いっていいね。後先を考える事なく純粋に行動ができて。」
「…そうかもしれないね。」
誰も知らない、誰からも祝福されない関係の私達にとって、熱い声援を受けている告白タイムが、ちょっぴり羨ましく感じたイベントであった。