校庭にキャンプファイヤーの火が灯されると、学園生活最後の後夜祭がスタートした。


キャンプファイヤーの炎の明かりと後夜祭のステージの照明だけが頼りな暗闇の中。
後夜祭のメインイベントである、イケメンイケジョコンテストが開催された。



エントリーしているイケメンイケジョは計十人。
蓮は今年も例年通り、再びこのステージ上にあがった。

イケジョの五人の中には、同じクラスの花音の姿が…。



コンテストの最終選出は、重量形式の投票によって行われる。
予め配布されていた学生専用のブルーの学園祭のパンフレットを、お気に入りのイケメンイケジョのエントリー番号のBOXに投入していくというルール。

集まったパンフレットの重量をはかりで計測して、最終順位が決まるというシステム。



投票用紙の意味を持つパンフレットは、ゴミとして散らかさないというエコ的な事情と、一人一票とした公正ルールとして考案されたらしい。






「イケメン部門第一位は…………、柊 蓮くん。」



パチパチパチパチ……


会場には多大な拍手が鳴り響く中、三度目の優勝を果たした蓮は、司会者に手渡された金の冠を被り、赤いマントに身を包んだ。



ステージから応援してくれた生徒に向かって笑顔で手を振る蓮の姿を紬と一緒に拍手を送りながら二人で見届けた後、何気なく自分の教室に視線を移すと……。

高梨先生が窓際で一人、後夜祭を見ていた。



私は先生に会いに行こうと思って、先生との関係を知らない紬にこう告げた。



「紬。教室に財布忘れてきちゃったから、今から取りに行ってくるね。出番を終えたら蓮達がすぐに戻って来ると思うから、ここで待っててね。」

「うん。…分かった。行っておいで。」



罪悪感に胸を痛めつつも、秘密の恋愛を続けている私には嘘という手段しか見つからなかった。



ごめんね、先生との関係を内緒にしていて。
私、先生だけじゃなくて紬にも嘘をついてるね…。

すっかり嘘つきになっちゃったよ。



梓は後ろ髪が引かれつつも、注意深く辺りを確認しながら教室に居る高梨の元へ向かった。