外部から多くの来場客が集まって賑わった学園祭は終了時刻を迎えた。
高校生活最後の学園祭は幕を閉じる。
梓は黒板付近の装飾の片付けを終えると、先に作業を終えた蓮が後ろから声をかけた。
「後夜祭、何時からスタートだっけ?」
「ちょっと待ってね、いま後夜祭のプリントを出すから。」
梓はスカートのポケットにしまっていたプリントを出して蓮の前に広げた。
生徒主催である後夜祭も、学園祭を楽しみにしていた中の一つ。
教員は無介入なので、割と自由な段取りで進行されている。
「18時からみたい。」
「スケジュールは?」
「順番にいくと…、イケメンイケジョコンテスト、バンドのライブ、告白タイム、借り物競争かな?」
「やべっ…、忘れてた。俺、呼ばれてたから早く行かないと。」
「また、イケメンイケジョコンテストに出るの?去年優勝したじゃん。」
「今年も呼ばれてるんだよ。」
「二年連続で優勝したんだから、もう行かなくていいじゃん。」
「お前…、他人事だなぁ。…じゃ、行ってくる。」
蓮はそう言って、毎年呼ばれているイケメンイケジョコンテストのステージに向かった。
イケメンイケジョコンテストとは…。
イケメン五人とイケジョ五人の計十人の中から、上位の美男美女を決める為に、後夜祭当日の最終投票を終えた後に壇上で順位が発表されるというもの。
上位十人の選出方法は、2週間前から予め用意されていた投票BOXに本校の生徒がイケメンイケジョの名前を書いて投稿し、学園祭前日に後夜祭実行委員が投票紙を取りまとめて、当日に上位十人の生徒に順々に声をかけていくとか。
毎年盛り上がりを見せるコンテストの上位五名に、イケメントリオの名が上がる。
三人は伝説の最強イケメンとも言い伝えられている。
毎年メンバーは入れ替わるものの、このコンテストにおいてイケメントリオは絶対的な存在であった。