街を歩きながら、ふとまわりを見渡せば…
本当にいろんな人がいる。
男、女、どちらかわからない人…
若い人、お年寄り、中年…
背が高い人、太った人、痩せた人、綺麗な人、そうじゃない人…



客観的に見て、私は目立つタイプではない。
スタイルは良くない、綺麗でもない、お金もない、センスも良くない。
多分、総合点は30点くらい?



「雅美~!」

声と共に私に向かって大きく振られる手…
すらっと背が高くて、周りから頭一つ分、飛び出してる。
好みは別としても、誰から見ても整った顔立ち。
それが今は満面の笑顔だ。



「お待たせ。」

時計を見たら、待ち合わせの時間から25分遅れていた。
なのに、彼は少しも怒らない。
いつも遅れるから、慣れてしまったのかもしれない。



「じゃあ、行こうか。」

差し出された手に私の手を重ねる。
周りが冷ややかな目で私達を見ているのは、気の所為だけではないと思う。
そうだよね。
私と彼は似合わない。
それは、私自身も思ってる。
だけど、なぜだか彼は私を深く愛している。
彼は、いろんな面でパーフェクトに近い人間、それに引き換え、私は30点クラスの人間。
明らかに釣り合わないのに。



「私のどこが好き?」

今まで何度か聞いてみたことがある。



「全部だよ。雅美の何から何まで大好きだ。」

だから、それがおかしいって言ってるのに。