とある事情で無言になったら、超絶クールな婚約者様が激甘溺愛モードになりました。


「それで、どうして私のところに来るのよ!?」
「わたくしにはシルビア様しか頼れる方がおりませんの。それに、このミッションをクリアしませんとライオネル様が悲しまれますわ」
「ライオネル様がっ!? そ、それなら仕方ないわね。私が付き合ってあげるわ」
「シルビア様! ありがとうございます! さすがわたくしの唯一の友人ですわ」
「いつ貴女の友人になったのよ!?」

 心優しいシルビア様のおかげで、わたくしはランチタイムを特訓の時間にすることができた。
 シルビア様は素直ではないけれど、裏表のない方なのでとても扱いやすいのだ。しかも人情に厚く根はとても真面目なシルビア様なら、きっとわたくしの特訓にも最後まで付き合ってくれるはずだ。

 わたくしはシルビア様を中庭の一画に連れ出して、ランチを口に運びながら事情を説明する。

「ちょっと……まさかそんなことで私をわざわざ呼び出したの!?」
「わたくし、どうしてもライオネル様の喜ぶ顔が早く見たくて、シルビア様に頼るしかないと思いましたの」
「なんで私が、ライオネル様を愛称呼びする特訓に付き合わないといけないのよ!?」

 怒りながらもランチを召し上がるシルビア様は器用だなと思いながら、正直な気持ちを打ち明けた。