僕はジークの言葉を背中で受け止めて図書室へ向かった。
侯爵家の図書室には王城の図書室に匹敵するほどの、数万に及ぶさまざまなジャンルの本がある。一般的なものから、秘蔵書と呼ばれるものまで多種多様だ。それは父上が努力しかできない僕のために、集めてくれたものだ。
さすがにすべてに目を通していないが、なにか困難があると図書室にこもって打開策や解決方法を探していた。
ハーミリアもよく図書室に来て一緒に調べ物を手伝ってくれたと思い出し、笑みがこぼれる。
図書室に差し込む日の光を浴びてキラキラと輝く白金色の髪、ふと見上げた時に吸い込まれそうになるアメジストの瞳。真っ直ぐに僕を見つめて、嬉しそうに微笑んでくれるハーミリア。
彼女のためになら、どんなこともできる。彼女こそが僕の生命だ。
図書室へ入り明かりをつけると、ずらりと並んだ蔵書が視界に飛び込んでくる。ジャンルごとにまとめてあるので、僕は魔法関連の棚へと足を進めた。
目当ての本を見つけ、他にも関連のあるものも数冊手に取って図書室の奥に設置されている机に静かに置く。一番上に積まれている本をパラパラとめくっていった。



