いつもとまったく違うライオネル様だったけれど、落ち込んでいるところを慰めればあっという間に私に靡くはずだ。私が心優しい王女であることを印象付けて、距離を縮めるきっかけを作ろうとした。
「かまいませんけど、せめて野菜ジュースだけでも召し上がった方がよろしいですわ」
「野菜ジュース……っ!」
ますます落ち込んでいくライオネル様に、どうしていいのかわからずに躊躇していると「失礼します……」と言ってライオネル様は教室へ入った。結局ランチの話はうやむやになり、この後フライング気味で帰ったライオネル様に声をかけるタイミングがなかった。
その後もライオネル様に声はかけるけれど、どこか上の空でふたりきりのランチの時間を作れない。そうこうしているうちに一週間が過ぎた。
「なんですって! それは本当なの!?」
「はい、明日にはハーミリアさんが登校するとライオネル様から聞きました」
「まったくしぶといんだから、どこまでも邪魔な存在ね、伯爵令嬢の分際で……!!」
あまりの悔しさに、手に持っていたサンドイッチを思わず握りつぶしてしまった。
やはりあの生意気な女を排除しないとダメらしい。さまざまな方法を考えていく。
あの女を排除するついでに、私の評判も上げられるよう手を回そう。そうだわ、最後にもう一度だけあの男爵令嬢にチャンスをあげましょう。



