ライオネル様にエスコートされて馬車から降りると、生徒たちの注目が集まる。
ライオネル様はもともと人気のあるお方だし、普段休むことのないわたくしが一週間にわたって学院を休んでいたからだろう。
「ハーミリア、さあ、僕が教室まで送っていこう。ほら、余所見してはダメだろう? 僕だけ見つめていて」
「はっ、はい……!」
ライオネル様の見たことがないようなとろけきった表情に、登校中の学生たちがざわめいた。
だが、なにより一番衝撃を受けているのは、このわたくしだ。
「ライオネル様、学院では今までと同じようになさってもかまいませんわよ?」
「それは無理だ。逆にもう抑えが利かない」
ええええええ! それはちょっと極端すぎませんか? いえ、嬉しいのだけれども!!
ざわめきは校舎まで広がっていて、いたたまれなくて教室へと急ごうとした。
「ああ、そうだ。今日からハーミリアは僕と同じクラスにしてもらった。今後はずっとそばにいて守るから」
「へ? そ、そんなことできますの?」
怜悧な微笑みを浮かべたライオネル様に背中がゾクリとするけれど、それがまたたまらない。ライオネル様の新たな一面を見られたわ! と喜んでいるわたくしも大概なので、もしかしたら似た者カップルなのではないか。



