「えっ! もう痛くないですわ!」
「うん、よかった。もう大丈夫ですよ。ああ、呪いについては本人にちゃんと返しておいたので心配いりません」
「まあ、本当にありがとうございます! あの、よかったらお茶に付き合っていただけませんか? 少し聞きたいこともございますの」
女性魔道士はひと仕事終えて、反対側のソファーに腰を下ろした。メイドが用意したお茶に口をつけて微笑む。
「あの、呪いですとか守護の魔法ですとか……どういうことですの?」
「そうですね。私がわかるのは強烈な恨みをもとに、放置すれば死に至る呪いがかけられていました。やり方が古臭かったので、おそらく古代魔道具を使ったものでしょう」
「そうでしたの……恨みというか、嫉妬や妬みなら心当たりがありますわ」
わたくしがライオネル様の婚約者だと気に入らない人たちならたくさんいるのだ。お陰でライオネル様本心が聞けてラッキーでしたけれど。
「では、守護の魔法というのはどういうことですの?」
「そのブレスレットについているのは魔石です。緊急時に何者からも守る守護の魔法……マジックバリアみたいなものが発動する仕組みになっています。少なくとも二度は呪いをかけられていますね」
「そういうことでしたの」
ライオネル様の慧眼と優しさに、心がぽかぽかと温かくなる。どうしましょう、わたくしはこんなに幸せでいいのかしら?



