その翌朝、早速ライオネル様が手配した女性魔道士がやってきた。
魔道士とは魔法を生業とする人たちで、魔法連盟が認定しているプロの魔法使いだ。身分は関係なく実力のみを問われるので、数は少ないが腕に間違いはない。その最高峰とも言われる『マジックエンペラー』の認定を受ければ、国王でも頭を下げるほどの存在になる。
その代わり依頼するとなると高額な料金が発生するから、滅多なことでは頼まない。
ああ、費用なんて気にせず、すぐに治せというのね。こんなところでもライオネル様の愛を感じますわっ!
自分に都合よく捉えて魔道士に言われた通り、ソファーに腰かけてリラックスする。魔道士は簡単に挨拶だけ済ませると、すぐにわたくしの痛みの原因を探った。
「うわっ、よくこんな呪いをかけられて無事でしたね!? どんな恨みを買ったんですか?」
呪い? わたくしのこの症状は呪いでしたの!?
わたくしが驚いていると、呪いを解きながら魔道士が説明してくれる。
「呪いには治癒魔法が効かないから、今までつらかったでしょう。幸い守護の魔法が働いてるからすぐに解呪できますよ」
そう言って、わたくしに手をかざしてたったひと言呪文を唱える。
【解呪】
それだけで、わたくしの歯の痛みは綺麗さっぱりなくなった。



