とある事情で無言になったら、超絶クールな婚約者様が激甘溺愛モードになりました。

     * * *

 ライオネル様が、わたくしに縋るようにして泣いている。
 アクアマリンのような瞳に涙を浮かべて、必死にわたくしを求めてくれている。

 これは現実なのかしら? 都合のいい夢ではないのかしら?
 わたくしがこんなにも愛してやまないお方から、ここまで激しく求められるなんて想像もしていなかった。だってむしろ嫌われていると思っていたから。

 ずっとずっと願っていた。
 わたくしに優しく微笑んでほしいと。
 そのアイスブルーの瞳でわたくしだけを見てほしいと。
 ライオネル様の心をわたくしにだけ向けてほしいと。

 そっと慰めるようにサラサラの青みがかった銀髪を撫でる。大丈夫だと、安心してと気持ちを込めて。

「ハーミリア……?」

 わたくしの行動の意図が読めないライオネル様が顔を上げた。

 いつもはキリッとしている怜悧な瞳は真っ赤になっていて不安げに揺れて、鼻まで赤く染めて頼りなく見える。
 でもそんなライオネル様を知るのはわたくしだけだと思うと、どうしようもなかった独占欲が満たされていった。