とある事情で無言になったら、超絶クールな婚約者様が激甘溺愛モードになりました。


 突然の出来事に歯の痛みも忘れて、わたくしはライオネル様を見下ろした。
 青を通り越して真っ白な顔でわたくしに縋るように抱きついてくる。
 なんとか【手紙】とだけ書いてライオネル様に見せると、悲しそうに麗しい顔を歪ませた。

「実は手紙は受け取ったまま読んでいなかったのだ……もし、僕を拒絶する言葉が書かれていたらと思うと、怖くて開封すらできなかった……」

 確かに手紙は読まれていないと思っていたけれど。
 でもその理由が、わたくしの想像していたものとかけ離れていて思考が追いつかない。

「お願いだ、ハーミリア! 僕を捨てないでくれ! どんなことでもするから嫌いにならないでくれ!!」

 いえ、ライオネル様はなにをおっしゃってますの?
 ちょっと、まったく、理解できませんわ……そもそもわたくしは、ライオネル様に嫌われていたのではなくて!?