「ハーミリア、君の好きなメロンを使ったゼリーを持ってきた」
わたくしがこくりと頷くと、ライオネル様はメイドに手土産を渡して準備させる。ライオネル様の得意な氷魔法で程よく冷えたメロンゼリーは格別だった。
一瞬だけ痛みを忘れて幸せな気持ちに浸る。
「……うん、よかった。今日はハーミリアのクラスの授業で、進んだ部分のノートを用意した。もし体調がよければ使ってくれ」
それからまた無言になって、わたくしがゼリーを食べる様子を眺めていた。わたくしが食べ終わっても石のように固まって動かないライオネル様に手紙を渡すと、いつものようにビクッと震える。
神妙な顔で手紙を受け取って静かに帰っていった。
わたくしがなにも話せないから、手紙も読むのも嫌なくらい嫌われてしまったのかしら……でもそれならどうして毎日手土産まで用意して、お見舞いに来てくださるの?
どうしましょう、ライオネル様の考えていることが、ぜんっぜんわからないわ。
次に来てくださったら筆談でもしてみようかしら?



