さらに三日後はプリンを持ってきてくれた。
「このプリンはハーミリアが食べやすいように、柔らかくなめらかに作らせたんだ。十分な栄養も摂れるように材料も厳選してある。口に合うといいのだが」
当然、今日のプリンも美味しさに打ちひしがれた。ライオネル様が氷魔法を活用して冷たいままわたくしのもとまで持ってきてくれるのだ。不安げに見つめてくるライオネル様にしっかりと頷いてみせると、ほんのりと笑みを浮かべる。
「気に入ったなら、また持ってくるよ。食べ物ばかりでは飽きるだろうから、今花も手配している」
わたくしはうっかり表情筋が動かないようにアルカイックスマイルを貼りつけている。頭の中が毎日お祭り状態なのは言うまでもない。でも、ひとつどうしても気になることがあった。
毎日手紙を書いてお渡ししているけど、どうも読んでいる気配がない。というか、会話の内容からして確実に読んでない。受け取る時も気が進まない様子で手を出してくる。
だって昨日の手紙でお土産はいらないと書いたのだ。
とても嬉しいけれど、一度侯爵家に戻ってからこの屋敷に来るのだから時間がかかってしまう。ライオネル様の貴重なお時間を無駄にするのは忍びなかった。
それよりも、少しずつだけれどラオネル様が話してくださるようになって、わたくしはもっとライオネル様の美声を聞きたいと思っていた。
愛されていないのはわかっているけど、真面目なライオネル様は律儀にわたくしのもとに日参してくれる。
今だけはライオネル様の優しさを独り占めしたかった。



