その翌日から手土産を話題にして、今までにないくらいわたくしに話しかけてくれる。嬉しくて嬉しくて、それだけで歯の痛みが和らいだ。
「ハーミリア、これは南国より取り寄せたシャインマスカットをジュースにしたものだ。僕も飲んだがとても美味しかった」
ライオネル様のおすすめなら間違いない。わたくしはそっと差し出されたグラスに口をつける。少し口に含めば甘くてさっぱりとした果汁が流れ込み、痛みに固まった心をほぐしていった。
ライオネル様に視線を向けてコクリと頷けば、ホッとしたように眉尻を下げる。その破壊力が凄まじかった。
ラ、ライオネル様がっ! ライオネル様の安堵した表情が尊すぎるわー!!
なんですの、その心許した相手にしか見せないような緩んだお顔はっ! わたくし初めて拝見しましたけど、これでどんぶり五杯はこのジュースが飲めますわっ!!
思わず表情筋が動いてしまい、痛みをやり過ごすのに苦労した。



