とある事情で無言になったら、超絶クールな婚約者様が激甘溺愛モードになりました。

     * * *

 翌日、学院を休んで横になっていると、なにやら廊下が騒がしくなった。

 ノックもせずに部屋に飛び込んできたのは、ライオネル様だ。あまりの慌てっぷりにわたくしの方が驚いた。

「ハーミリア! 大丈夫か? 身体の具合が悪いと聞いて見舞いに来たのだが……」
「…………」

 相変わらず歯が痛くて話せないので、こくりと頷く。
 それにしてもライオネル様が、わたくしにこんなにお話しされるなんて珍しい。

「あ……すまない。レディの寝室にノックもなしに……また、出直してくる」

 それだけ言ってライオネル様は項垂れて帰ってしまった。
 なにがあったのか、わたくしが話さなくなったらライオネル様がたくさんお話しするようになった。

 え、もしかして。もしかすると、わたくしが喋りすぎだったのかしら!?
 あああ! 心当たりがありすぎて、どうしましょう!
 今すぐお詫びしないと! 話せないのだから手紙を書きましょう。そうよ、わたくしの状況もお伝えして、誤解のないようにしないと。

 慌ててレターセットを取り出して、ライオネル様に手紙をしたためた。