——あきらめなくてよかった。
実は父や母には、途中で何度か婚約を解消しないかと聞かれたことがあった。格上の侯爵家相手の婚約だから、こちらからの解消などよほどでないとできないというのに、両親はわたくしを心配してくれていた。
その度にライル様の行動をよく吟味して、噂よりも自分の目で見たものを信じてきた。
実際にライル様からわたくしを嫌いだと直接聞いたことがなかったし、ライル様はご令嬢たちに人気があったから嫉妬や意地悪もあるのだろうと考えていた。
そういうものだと理解するまではたくさん泣いてきたけれど、今ではその時の経験さえわたくしの糧になっている。
出口が見えない上り坂ばかりの道だったけれど、登り切った後の世界はこんなにも輝いているのだと知った。
わたくしはこれから、どんな困難が待っていてもあきらめない。
大切な人を、ライル様を信じて、なによりも自分自身を信じて前へ進んでいく。
そしてどんな未来が待っていても、ライル様のそばにいることは変わらない。
だってわたくしは、もう貴方以外を愛せないのだから。



