とある事情で無言になったら、超絶クールな婚約者様が激甘溺愛モードになりました。


「はあ、よし。いきますよ、ライオネル様」
「ああ、よろしく頼む!」

 ジークは僕が腰掛けているソファーの前にやってくる。
 ソファーに片膝を乗せて、僕を挟み込むようにソファーの背もたれに手をついた。

 ジークの瞳は真剣そのもので、これが女性だったなら確かに胸がときめくだろう。ジークの紅い瞳が熱に浮かされたみたいに揺れていた。

「なにを考えてるんですか? 余計なことは考えちゃダメでしょう?」
「いや、余計なことなど……」

 ここでジークの人差し指が僕の唇に触れて、言葉を続けさせてもらえない。

「今は私のことだけ見て、私のことだけ考えてください」

 そう言って、ゆっくりと紅い瞳が近づいてくる。
 僕は思わず目を閉じた。

「はいっ! こんな感じです! どうですか?」
「っ! こ、これはなかなか難しいな……!」
「うーん、そうですねえ、全部を同じにしなくてもいいんですけど、空気の作り方はこんな感じです。さすがに通信機は映像も入っちゃうんで使えないですし、後は練習して頑張ってください」

 一瞬で切り替えたジークが「場所交代です」と言って、ソファーに腰を下ろす。
 さっきのやり方でリアにアピールできるように、練習をするしかない。

「ジーク、ダメなところは遠慮なく言ってくれ」
「わかりました。今回はさっさと終わらせたいんで、遠慮しません」

 その後、本当にズケズケと遠慮なく的確な指摘をもらい、なんとかジークの許可が出るまで頑張った。