予習のためにも上級編まで目を通してはいるが、こちらはさらに過激だ。
同じキスでも、濃厚で具体的な方法まで書かれている。この項目が該当のものだ。
【お付き合い上級編 その⑤恋人をメロメロにさせよう!】
メロメロになるのは間違いなく僕だと断言できる。この指南書の通りのキスをして、自分を保てるのかすらわからない。
そもそもこの本は大衆向けであるから貴族の教育とはまだ別なのかもしれない。閨のことまで丁寧に説明されていた。僕とリアは結婚するまでは清く正しい関係でいなければいけないが、後々参考になりそうだ。
ただ、なかなか刺激的なのでジークがいない時にこっそり読んでいる。
「ライオネル様の場合は、シチュエーションがよくてもヘタレすぎて行動に移せないので、いっそハーミリア様に気付いてもらうのはいかがですか?」
「リアに気付いてもらうか……だが、気付いてもらった後はどうすればいいのか。思い切って口づけさせてくれと頼んでみるか?」
「いやいやいやいや、直接頼むのだけはやめてください。ライオネル様の鬼気迫る様子で頼んだら雰囲気とか台無しですよ。絶対にやっちゃダメです」
「そ、そうか……」
やはりジークに相談して正解だった。
次にダメなら真剣に頼んでみようかと思っていたのだ。



