とある事情で無言になったら、超絶クールな婚約者様が激甘溺愛モードになりました。


「ライル様、勝手に話してしまって申し訳ありません」
「いいんだ、お陰でこの子も落ち着いた。さすが僕のリアだ。では騎士に引き渡してくる。すぐそこに騎士がいるから、ここで待っていてくれるか?」
「わかりましたわ、それではお願いします」

 男の子に手を振って、ライル様を待ってほんの数分後に見知らぬ方に声をかけられた。

「おい、お前。面白い格好をしているな。この祭りでは私のパートナーにしてやるから、ありがたく思え」

 一瞬、なにを言っているのかよくわからなくて、首を傾げてしまう。声をかけてきたのは三人組の男性たちで、仮装はしておらず話し方からして貴族のようだった。仮装のことを知らないしこの国の貴族ではないようなので、他国からの旅行者だろうか?
 三人とも頬を赤らめて、ごくりと唾を飲み込んでいる。

「どなたか存じませんけれど、今は婚約者を待っておりますのでお断りいたしますわ」

 貴族であれば、名乗りもしない無礼者。平民であっても、初対面でお前と呼ぶような方とは仲良くしたいとは思わない。冷めた目を向けてはっきりキッパリ明言した。