「ライル様。この子は迷子のようですので騎士にお願いしたいのですが、よろしいですか?」
「ああ、もちろんだ。僕がこの子を連れていく。さあ、おいで。肩車をしてあげよう」
若干硬い表情でライル様が男の子をヒョイっと肩に乗せてしまった。
「うわっ! オレ、お姉ちゃんがいいのに!」
「ダメだ。あのお姉ちゃんは僕の婚約者だから、いくら子供でもこれ以上は許せない」
「えー! お姉ちゃんがいいよー!」
男の子がまた泣きそうになったので、なんとか気を逸らせないかと考えた。
「ねえ、貴方は魔道士って聞いたらどう思う?」
「え? 魔道士? うーん、かっこいいとおもう!」
「それなら、秘密を教えてあげるわ。このお兄さんは実は魔道士でとっっっっても強いのよ」
「そうなの!? すごい!」
「だからお兄さんのお話も聞いてくれるかしら?」
「わかった!」
力一杯ライル様の素晴らしさを簡潔に伝えたところ、ちゃんと理解してくれたようだ。なんとか話しを聞いてくれるところまで持っていけた、よかった。



