ライル様と並んで女神像の前に跪き、胸の前で手を組む。瞳を閉じて心から祈りを捧げた。
今年も豊かな実りをくださりありがとうございます。
来年も民たちが飢えぬよう、恵みがもたらされますように。
願わくは、ひとりでも多くの民が笑顔で過ごせますように。
そしてわたくしのライル様が、幸せに包まれますように。
瞳を上げて女神像を見上げれば、キラキラと光が降り注いだ。これでわたくしの祈りが届いた。きっと来年も豊かな一年になる。
ライル様もちょうど祈り終えたようで、一緒に立ち上がり手を繋いで出口へと向かった。
ところが出口まであと十メートルというところで、道の端で何かに耐えるように俯いている五歳くらいの男の子を見つけた。周りの大人たちは男の子の様子に気づいていないようで、みんな通り過ぎていく。
「ライル様、少しよろしいですか?」
「どうした?」
「あの男の子がの様子がおかしいのです」
わたくしはそっと近づいて、男の子の前に膝をついた。



