やっと待ちに待ったランチタイムがやってきた。
ほんの少ししか口を開くことしかできないので、昼食は野菜ジュース一択だ。無理やり飲んで紛らわした。
「…………」
「…………」
ライオネル様の視線が痛いほど刺さってくる。
毎日欠かさず婚約者の義務として、昼食を一緒に摂ってくださるライオネル様がなにか言いたそうにしている。
こんな律儀な婚約者も珍しい。どんなにわたくしが嫌いでも浮気の心配はなさそうだ。
あまりの気まずさから、二本目の野菜ジュースに手が伸びる。さすがに固形物を口に入れられないので、多めに用意してあった。
だけど……こんなに見つめられるなんて、あああ、今日は何て素敵な日なの!!
ライオネル様の鋭く怜悧な瞳がわたくしに向けられてるなんて、こんな感動を味わえるなんて思わなかったわ!!
けれどわたくしから言葉を発することができず、昼休みの時間があっけなく過ぎていく。



