でもお父様もお母様もちょうど社交シーズンでタウンハウスに滞在しているから、帰ったら相談してみよう。
それにしても治癒魔法でも消えない痛みとは、原因がさっぱりわからない。
【屋敷に戻ったら父に相談してみます。授業だけ受けて帰ります】
そう書き記して保健室を後にした。
保健室の先生が教科ごとの先生に周知してくれたので、授業で当てられることもなく静かに過ごすことができた。
教室に戻ってからシルビア様にお礼を伝えると「そんなのはいいから早く帰りなさい!」と叱られてしまった。
でも帰るつもりはない。
なによりもライオネル様を心配させてしまう。心優しいライオネル様は例え嫌いな婚約者だとしても、気にせずにはいられない方だもの。
それにライオネル様と過ごせるランチタイムと帰りの馬車の時間を失いたくなかった。
そう、わたくしは呆れるほど、この愛に盲目なのだ。



