こんなに幸せでいいのかしら?
わたくしの重すぎる愛に負けないくらい愛されて、その温もりに包まれている。
ここは天国ではないかと思ったけれど、ギュッと抱きしめられて夢でも天国でもないのだと実感した。
そこで王太子殿下の声に目の前の現実に意識を戻される。
「ライオネル、ハーミリア嬢。そろそろいいだろうか?」
ハッと我に返ったけど、よく考えてみればここは夜会会場のど真ん中ではないかしら? え、ちょっと、待って。わたくしはここでなにをしていたのかしら!?
大貴族たちが見守る中、ライル様に会えた喜びで思わずふたりきりの時のようにイチャイチャしてしまったわ!
唇へのキスは初めてでしたけど……って、恥ずかしがっている場合ではないわね!? 全部見られていたのね!?
「殿下、邪魔しないでください。まだ全然足りません」
「いや、イチャついても構わないが、せめて場所は選んでくれ」
「場所は選びましたよ。これでリアは僕のものだと周知できたでしょう?」
えええ——っ!! まさか、ライル様はわざとでしたの!?
いくら嬉しさのあまり我を忘れたとしても、こんな大勢の前で婚約者とキスするなんて淑女として失格ですわ!



