とある事情で無言になったら、超絶クールな婚約者様が激甘溺愛モードになりました。


『いい? 思いっきり憎い相手を思い浮かべて魔力を流すのよ。そうしたらこの古代の魔道具が貴女の望みを叶えてくれるわ』
『それでは、思い浮かべる相手は、ハーミリアですね!』
『今日はタイミングが悪いから、明日の朝にしてほしいの』
『はい、承知しました!』
『そうね、明日の朝に生徒会室の鍵を開けておくから、そこで試すといいわ』
『はい、任せてください! 必ず成功させてみせます!』

 あれはマリアン様が仕向けたことだったの……確かにやり過ぎですわね!
 お陰さまでライル様と相思相愛だと知ることができましたけど!

 次に流れてきたのは、生徒会室の映像だった。この流れだと、あの日マリアン様が相談があると言ってライル様を連れていった後のようだ。

『これは?』
『王家が所有する禁断の魔道具ですわ。ある装置につけると魔物を呼び寄せる効果がありますの。石の大きさによって呼び寄せる魔物の強さも変わるものですわ』
『うっかりどこかの領地に落としてきてしまうかもしれませんわね。例えば、東の川の向こう側とか』
『だが、そんなことをすれば多くの民に被害が出てしまいます』
『ライオネル様が私の婚約者になれば、民に被害が出ることはございませんわ』

 こんなことがあったなんて……東の川の向こうって、マルグレンの領地ではないの! ライル様はわたくしの実家の領地まで守ってくださったのね。本当に愛としさが止まりませんわ!