とある事情で無言になったら、超絶クールな婚約者様が激甘溺愛モードになりました。


「殿下」
「うっ……なんだ、ライオネル」

 ライネル様の追及は終わらない。今度は王太子殿下に視線を向けた。

「頼んでいたものは用意できてますか?」
「ああ、もちろんだ。ローザ、テオフィル、もうよい。こちらへ」
「「御意」」

 マリアン様の取り巻きだったローザ様とテオフィル様が、王太子殿下のもとで跪く。それを見たマリアン様はこれでもかと両目を見開いていた。ゆるゆると首を振り真っ青な顔で震えている。

「マリアン、お前はやり過ぎた。これ以上は私が許さない。覚悟はいいな?」
「……っ! 〜〜っ!」
「ああ、口を塞いだままだった」

 ライオネル様がパチンと指を鳴らすとマリアン様にかかった魔法が解けて、自由になったそばからわめき散らした。

「お、お兄様! 違うの! 私はただ、みなさんのためにやったことなのよ!!」
「言い訳は不要だ。ローザ、映像水晶を」

 王太子殿下の指示でローザ様が手にしていた水晶に魔力を込めると、なにもない空間に映像が流れ始めた。
 映像にはドリカさんが映っていて、キラキラとした瞳でマリアン様を見つめている。