キィンッと金属音が響く。
帝国の皇子というだけあって、その荒々しい剣さばきは力強い。パワーに押されて引けばジリジリと追い詰められていく。
だけどライル様の剣筋は無駄がなくスマートで、相手の隙をついて的確なダメージを与えていった。
そうだ、つまり強く攻め込むことができれば、ライル様は剣でも敵なしだったのだ。
ひときわ高い金属音が響き、首元に切っ先を突きつけられたクリストファー殿下が膝をついた。
ライル様の勝利だ。
「僕の勝ちだ。二度とリアに近づくな」
「くそっ……! 俺だって、本気で愛してたんだ……!」
「リアへの愛なら僕は誰にも負けない」
観戦していた貴族たちがざわざわと騒ぎ出す。
ここまでとんでもない展開の夜会になるなんて想像すらしてなかった。でもわたくしにとっては、最高の夜会だ。
愛するライル様に再会できた。
わたくしのために命の危険もある試験に挑み、見事資格をその手にしてきた。
わたくしの涙を止めるために、触れるようなキスを額にしてくれた。
「いいか、この場にいる全員に宣言する! ハーミリア・マルグレンは僕の婚約者だ! 僕たちの邪魔をするなら、容赦せず全力で排除する!!」
そして、ライル様のすべてでわたくしを守ってくれた。
あああああ!! わたくしのライル様が、カッコよすぎますわ——っ!!!!



