ライル様は無駄のない動きで優雅にローブを脱ぎ、国王陛下の肩に乗せた。次の瞬間、バリバリバリッと空気を切り裂くような大きな音がしたかと思ったら、国王陛下が白目を剥いていた。
身体のあちこちから白煙が上っていて、どうやら雷魔法を食らったようである。
「へえ、初めて試してみたけど、こうなるのか。でも、これで僕が本物のマジックエンペラーだと、わかってくれたね? 次に余計なことを言えば、王女と同じく凍らせる」
サラッと治癒魔法をかけて国王陛下を正気に戻したライル様は、冷酷な微笑みを浮かべて会場を見渡した。
「他に僕を疑う者はいないか? では、この場で誰に敬意を払うべきか、聡明な君たちならわかるだろう?」
ライル様が、黒くて冷たいオーラを放つライル様が素敵すぎるっ! といつものように恍惚感に浸っていた。
「お、おい! 俺は……俺だって、ハーミリアを愛してるんだ! このまま引くことはできない!」
なんと先ほど説得したはずのクリストファー殿下が立ち上がった。どうしてそのまま引き下がってくれないのか、頭が痛くなってくる。
ただでさえ見られただけで凍りついてしまいそうなライル様の視線に、明確な敵意がにじんでいた。



