とある事情で無言になったら、超絶クールな婚約者様が激甘溺愛モードになりました。


 国王陛下も事態をうまく飲み込めていないのか、なにも言えずに呆然としている。

 わたくしもここまで怒り狂っているライル様を見たことがなくて、どうしたらいいのかわからない。

「ま、待て! そのローブがマジックエンペラーのものだという証明はあるのか!? 似たようなローブなどいくらでもあ——」

 国王陛下の言葉で夜会会場がみるみる氷に包まれていった。ライル様を中心に、天井まで氷が覆って、シャンデリアからは氷柱が伸びている。
 それは国王陛下の足元まで及び、膝の下まで凍りつかせた。

「僕がマジックエンペラーになった証か。いいだろう、特別にお前にこのローブを着せてやる」
「そんなことをして何の意味があるのだ!」
「魔法連盟で渡されるローブは魔道具の一種で、不正利用防止のため持ち主しか着れないようになっている。持ち主以外が着ればどうなるか、試してみよう。リア、少し待っていて」

 わたくしたちの周りの結界を解いて、名残惜しそうに離れるライル様にキュンキュンしてしまう。