とある事情で無言になったら、超絶クールな婚約者様が激甘溺愛モードになりました。

     * * *

「リア! 会いたかった、リア……!」
「ラ……ライ……ル様っ!!」

 ライル様に会えた感動で、涙が止まらない。言いたいことはたくさんあるのに、言葉が出てこない。

 ただただ、ライル様の腕の中に抱きしめられて、安堵と愛しさと恋しさとさまざまな感情があふれ出してきた。

「待たせてごめん。時間がかかってしまったから、リアに大変な思いをさせてしまった」
「大丈夫ですわ…ライル様はもちろん、ライル様を信じると決めたわたくし自身も、間違ってないと信じてましたもの」
「ふふ、リアらしい。でもそろそろ泣き止んでほしいな。こんな儚く壊れそうな姿を、これ以上他の人に見せたくない」

 そう言うと、額にライル様の柔らかな唇が降ってきた。

 今。今、なにをされましたの!? 今の感触はライル様の、く、く、く、く、唇ではございませんの——!?
 ええ、止まりましたとも!! わたくしの涙など、ビタッと止まりましたわっ!!