戻ってきたのは受付の前だ。ここなら誰かがいるだろうし、目の前に僕が現れれば話が早い。
「はあ、やっと戻れた。あ、すみません。魔境の森から戻ってきたので、マジックエンペラーの認定をお願いします」
「えええ——!? えっ、ちょ、ちょっと待ってください——!!」
受付の女性は大慌てでどこかへ走り去っていった。
それから五分後、目の前にあの時の試験官が現れた。最初の時とは違って満面の笑みを浮かべている。
「おお! マジでライオネルか! てか、無茶苦茶早いな!?」
「あ、あの時の……早いかどうかはわかりませんが、戻りましたので認定をお願いします」
「くくっ、相変わらずクールだねえ。マジックエンペラーの試験は、クリアするまでに三カ月から半年はかかるんだ。異例の速さなんだぜ? 少しは喜んだらどうだ?」
そう言いながら、マジックエンペラーしか着ることが許されない、濃紫のローブを手渡される。これは魔道具の一種で、最初に流した魔力の持ち主しか着れないものだ。さすが魔法連盟だ、抜かりない。
それにしても、僕は不器用だからてっきり遅い方なのかと思っていた。これもリアが今まで僕の背中を押し続けてくれたおかげだ。
「喜ぶのは婚約者に会ってからにします。早く、リアに会いたい」
「おう、そうしな! ああ、ライオネル。もし困ったことがあれば魔法連盟長ナッシュ・アーレンスの名を出せ。大概なんとかなるだろう」



